中学生の頃、屠殺のことを知って肉なんか食べたくないと思ったことがあってね。僕は飯なんかいらないって部屋に篭って親を困らせた。だけど、一食食わないだけでも飢えのようなものはあっという間に襲ってきて…食べたいという気持ちは、とにかく怖いものだと思った
でも何となくわかるんだよね 日々に意味が見いだせなくても、残酷なことに手を染めたくなくても…生きることは『ただお腹が空く』んだよ…それから人は逃れるために、生きるしかなくて…
村を守ろうとした尾崎は、味方の暴走によって結局村を喪う。沙子と静信は、死にたいと思いながら生きることを本能に強いられ足掻き続ける。恵と夏野は最後まで町を出ることができない。他の登場人物もみな、最後まで芯を貫こうとして、全て失ってしまう…なんつーどんよりした話か
誰もが何かになろうとしたり、何かから自由になろうとしたり、自分の中の何かを守り通そうとして…もがいて、時に無力さにうちひしがれて、足掻き続けても最後には全てを失ってしまう